寿司--冈本加奈子节选翻译

miki Dec. 10, 2018, 6:58 p.m.
Translation exercises

その翌日であった。母親は青葉の映りの濃く射す縁側へ新しい茣(ご)蓙(ざ)を敷き、俎板だの庖丁だの水桶だの蠅帳だの持ち出した。それもみな買い立ての真新しいものだった。

母親は自分と俎板を距てた向側に子供を坐らせた。子供の前には膳の上に一つの皿を置いた。
   母親は、腕捲りして、薔(ば)薇(ら)いろの掌を差出して手品師のように、手の裏表を返して子供に見せた。それからその手を言葉と共に調子づけて擦(こす)りながら云った。
  「よくご覧、使う道具は、みんな新しいものだよ。それから拵える人は、おまえさんの母さんだよ。手はこんなにもよくきれいに洗ってあるよ。判ったかい。判ったら、さ、そこで——」

母親は、鉢の中で炊きさました飯に酢を混ぜた。母親も子供もこんこん噎せた。それから母親はその鉢を傍に寄せて、中からいくらかの飯の分量を掴み出して、両手で小さく長方形に握った。
   蠅帳の中には、すでに鮨の具(ぐ)が調理されてあった。母親は素早くその中からひときれを取出してそれからちょっと押えて、長方形に握った飯の上へ載せた。子供の前の膳の上の皿へ置いた。玉子焼鮨だった。
  「ほら、鮨だよ、おすしだよ。手々で、じかに掴んで食べても好いのだよ」

子供は、その通りにした。はだかの肌をするする撫でられるようなころ合いの酸味に、飯と、玉子のあまみがほろほろに交ったあじわいが丁度舌一ぱいに乗った具合——それをひとつ食べて仕舞うと体を母に拠りつけたいほど、おいしさと、親しさが、ぬくめた香湯のように子供の身うちに湧いた。
   子供はおいしいと云うのが、きまり悪いので、ただ、にいっと笑って、母の顔を見上げた。
  「そら、もひとつ、いいかね」

母親は、また手品師のように、手をうら返しにして見せた後、飯を握り、蠅帳から具の一片れを取りだして押しつけ、子供の皿に置いた。
   子供は今度は握った飯の上に乗った白く長方形の切片を気味悪く覗いた。すると母親は怖くない程度の威丈高になって 「何でもありません、白い玉子焼だと思って食べればいいんです」
 といった。
   かくて、子供は、烏賊というものを生れて始めて食べた。象牙のような滑らかさがあって、生餅より、よっぽど歯切れがよかった。子供は烏賊鮨を食べていたその冒険のさなか、詰めていた息のようなものを、はっ、として顔の力(りき)みを解いた。うまかったことは、笑い顔でしか現わさなかった。
   母親は、こんどは、飯の上に、白い透きとおる切片をつけて出した。子供は、それを取って口へ持って行くときに、脅かされるにおいに掠められたが、鼻を詰らせて、思い切って口の中へ入れた。
   白く透き通る切片は、咀嚼のために、上品なうま味に衝(つ)きくずされ、程よい滋味の圧感に混って、子供の細い咽喉へ通って行った。
  「今のは、たしかに、ほんとうの魚に違いない。自分は、魚が食べられたのだ——」

そう気づくと、子供は、はじめて、生きているものを噛み殺したような征服と新鮮を感じ、あたりを広く見廻したい歓びを感じた。むずむずする両方の脇腹を、同じような歓びで、じっとしていられない手の指で掴み掻いた。
  「ひ ひ ひ ひ ひ」

無(む)暗(やみ)に疳(かん)高(だか)に子供は笑った。母親は、勝利は自分のものだと見てとると、指についた飯粒を、ひとつひとつ払い落したりしてから、わざと落ちついて蠅帳のなかを子供に見せぬよう覗いて云った。

「さあ、こんどは、何にしようかね……はてね……まだあるかしらん……」

子供は焦立って絶叫する。
「すし! すし」

母親は、嬉しいのをぐっと堪える少し呆(ほう)けたような——それは子供が、母としては一ばん好きな表情で、生涯忘れ得ない美しい顔をして
「では、お客さまのお好みによりまして、次を差上げまあす」

最初のときのように、薔薇いろの手を子供の眼の前に近づけ、母はまたも手品師のように裏と表を返して見せてから鮨を握り出した。同じような白い身の魚の鮨が握り出された。
   母親はまず最初の試みに注意深く色と生臭の無い魚肉を選んだらしい。それは鯛と比良目であった。
   子供は続けて食べた。母親が握って皿の上に置くのと、子供が掴み取る手と、競争するようになった。その熱中が、母と子を何も考えず、意識しない一つの気持ちの痺れた世界に牽き入れた。五つ六つの鮨が握られて、掴み取られて、食べられる——その運びに面白く調子がついて来た。素人の母親の握る鮨は、いちいち大きさが違っていて、形も不細工だった。鮨は、皿の上に、ころりと倒れて、載せた具を傍へ落すものもあった。子供は、そういうものへ却って愛感を覚え、自分で形を調えて食べると余計おいしい気がした。子供は、ふと、日頃、内しょで呼んでいるもう一人の幻想のなかの母といま目の前に鮨を握っている母とが眼の感覚だけか頭の中でか、一致しかけ一重の姿に紛れている気がした。もっと、ぴったり、一致して欲しいが、あまり一致したら恐ろしい気もする。
   自分が、いつも、誰にも内しょで呼ぶ母はやはり、この母親であったのかしら、それがこんなにも自分においしいものを食べさせて呉れるこの母であったのなら、内密に心を外の母に移していたのが悪かった気がした。
  「さあ、さあ、今日は、この位にして置きましょう。よく食べてお呉れだったね」

目の前の母親は、飯粒のついた薔薇いろの手をぱんぱんと子供の前で気もちよさそうにはたいた。
   それから後も五、六度、母親の手製の鮨に子供は慣らされて行った。
   ざくろの花のような色の赤貝の身だの、二本の銀色の地色に竪縞のあるさよりだのに、子供は馴染むようになった。子供はそれから、だんだん平常の飯の菜にも魚が食べられるようになった。身体も見違えるほど健康になった。中学へはいる頃は、人が振り返るほど美しく逞しい少年になった。
       翌日,妈妈在浓浓绿荫下的走廊上铺了一条新凉席,然后拿出了砧板、菜刀、水桶、防蝇纱罩等东西。这些全都是刚买的新货。
  妈妈和小孩隔着砧板相对而坐,小孩面前的食案上放着一只碟子。

妈妈卷起袖子,对着小孩伸出淡粉色的手掌,像一名魔术师一样,翻转了一下手心手背。然后一边说话一边顺着话头擦着手掌。

“看,我们使用的道具,都是新买的哦。而且是你妈妈在给你做饭,手也已经洗得干干净净的了。你懂了吗?懂了的话,那么…”

妈妈倒了一点醋到大碗中的冷饭里,一阵酸味,母子俩都被呛到了。之后,妈妈将这个大碗放在一边,从中抓了一点米饭,双手将其捏成了一个小小的长方形。

纱罩下面放着早就调理好的寿司配料。妈妈轻快地从中拿了一片出来,稍微按压后,放到了长方形饭团上。然后放在了小孩面前的小碟子上。是蛋卷寿司。

“看,是寿司,寿司哟。你可以直接用手抓着吃哦。”

小孩照着吃了。发酵得正合适的酸味,好像轻轻抚摸着自己裸露的肌肤,米饭和鸡蛋的甜味恰如其分地交融在整个舌头上——将其全部吞下去后,就仿佛一杯微温的香茶,小孩全身都涌现出了美味而温暖的感觉,这是妈妈的味道。

直接说很好吃,小孩有点难为情,就害羞地笑了笑,抬头看了看妈妈。

“我想再吃一个,可以吗?”

妈妈就又一次像一名魔术师一样,将手翻转了一下,捏好饭团,从纱罩下拿起一块寿司配料,按压之后,再次放到了小孩面前的碟子上。

这次,小孩觉得寿司上面盖的那片白色配料有点恶心。妈妈就故作生气地威胁到:“这没什么的,你就当作白色的鸡蛋卷吃了吧。”

就这样,小孩吃起了生下来从没吃过的墨鱼。象牙般滑嫩的口感,比起年糕要好得多的嚼劲。小孩仿佛在经历一场冒险,吃到一半,终于不再屏住呼吸,整张脸都放松了下来。从他的笑容可以知道的确很好吃。

接下来,妈妈在饭团上放了一片白色透明的东西,小孩接过手之后,鼻子边掠过一阵难以言喻的腥味,就狠下心捏住鼻子,勇敢地往嘴里一扔。

白色透明的鱼片随着被咀嚼开来,在嘴里散发出浓郁的鲜味,配合着滋味正好的挤压感,划过小孩细细的喉咙。
“刚刚我吃的确实是鱼。原来我还是能吃鱼肉的。”

意识到这一点,小孩第一次产生了咬死活物的征服感和新鲜感,得意洋洋地想要环顾四周。两侧腰窝好像感同身受,痒痒的,手不由自主地去挠了几下。

“嘻 嘻 嘻 嘻 嘻。”

小孩兴奋地尖叫起来。妈妈看到这一幕后,认为自己赢得了这场战争的胜利,将手指上的饭粒一一掸去之后,故作镇静地偷偷看向纱罩里面,故意不让小孩看见。

“那么,接下来吃什么呢?嗯…还有东西可以捏吗?”

小孩急不可待地大声叫起来。

“寿司!寿司!”

妈妈忍住自己愉悦的心情,脸部呈现一种恍惚而又朦胧的——这是小孩最喜欢的妈妈的表情,美得惊心动魄,让人毕生难忘:“那么,就随客人意愿,再做一个吧。”

就像第一次一样,妈妈将呈淡粉色的手放到小孩面前,像魔术师一样翻转手部,开始捏寿司。依旧是一个白色的鱼肉寿司。
   妈妈初次尝试,细致入微地选择了没有颜色和腥味的鱼肉。是加吉鱼和比目鱼。

小孩一停不停地吃起来。妈妈捏寿司放到盘子上,小孩立即拿起来吃,母子俩就像在比赛一样,一个不停做,一个不停吃,什么也不考虑,如同被牵引进了一个混沌的无意识空间。有五六个寿司被制作,抓起,吃掉——这一连串动作甚至带了点韵味和节奏感。妈妈并非捏寿司的专家,捏出来的寿司有大有小,形状也不甚精致。有些寿司放到碟子上后,甚至会整个咕噜翻转,上面的鱼片也会随之滚落。小孩对这些长得歪瓜裂枣的寿司反而情有独钟,自己整理过后再吃觉得愈发美味。小孩突然感到平时隐秘地幻想中的母亲和眼前这个捏寿司的母亲在自己眼中,或者是心中不断重叠起来,叫人难以辨别。虽然心底希望两者形象能够合二为一,但是要真的一模一样了,反而又叫人心生恐惧。

自己偷偷在心底幻想的妈妈难道就是眼前的妈妈?如果真的是眼前这位为自己做这么好吃的寿司的妈妈的话,那么自己之前偷偷的怀疑背离就有点对不起她了。

“哎呀,哎呀,今天要不就到此为止吧。胃口真好呀。”

眼前的妈妈心情舒畅地在小孩面前拍了拍粘着饭粒的粉红色的手。

这一日之后,小孩又被喂了五六次妈妈亲手做的寿司。

像是石榴花一样红色的毛蚶肉啦,银色鱼肉带两条竖纹的针鱼啦,小孩渐渐习惯自然起来。自此之后,小孩在平时吃饭时也能够吃鱼了。身体也逐渐健康起来,完全不同以往了。读初中的时候,已经是一位惹人注目的健康美少年了。

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